これは良い本です
この本には衝撃を受けました。
日本の財政がどうして破綻しつつあるのかの一側面を本書は明確に暴き出しています。
日本の官僚がどれほど腐っているか、巨大な利権を守るために彼らが何をしているのか、政治家はどれだけ地元の利益の事だけを考えているのか、さらには、マスコミがどれほど一面的な取材(これはこれでほとんどサボタージュですが)だけで新聞を書いているのかと言った、日本の恥部を大枠で描ききったドキュメンタリーは久しぶりです。
私の読書歴において、立花隆さんの著書をはずすことは出来ないんですが、彼のドキュメンタリーと同じレベルの、
● 論理の明快さ
● 正しい提言
● わかりやすさ
を持ちながら更に、「そんな状況を変えるためのアクションをやりきった男の歩み」が本書には刻まれています。
立花隆さんと言えば、
が有名なんですが、実は私が読んだ彼の最初の本はこれなんですね。
友人を含めて彼の著作のファンはたくさんいるんですが、これがスゴイという人も、ましてや、これを最初に読みましたと言う人にも出会った事がないと言う意味に於いて、私の趣味は当時から(20数年前ですが)一般の方と嗜好がズレていたのかも知れません(笑)
それにしても、この猪瀬さんの功績はもっと称えられなきゃダメですよ。
政治家から見たら、「死刑にしても飽き足りないヤツ」ですし、このような官僚から見たら、「一族郎党晒し首」にしたいような人だと思いますが、我々納税者から見たらまさに、
● 国民栄誉賞なみ
の功績を成し遂げてくれた人だと感じています。
そして、こういう本こそ若手の人に読んでもらい、政治に関心を持ってもらいたいと思います。
問題は、関心を持っても、
■ じゃぁ、誰にその思いを託せば良いんだ?
と言うフラストレーションが溜まってしまうのが、今の政治の一番の問題でもあり、それこそが、投票率の低さの直接的な理由なのだと思います。
評論家ではなく、当事者として官僚に立ち向かい、巨大な実績を上げた歴史を、本書を通じて多くの人に理解してもらいたいと思います。
それにしても、こんな裏側があったなんて、全く知りませんでした。
その意味では、やはり日本のマスコミにも大きな問題があると思いますよ。彼らも本当に勉強不足です。
私は常日頃、「勉強をする事こそがこの時代に生き残る唯一の術である」とメールマガジンを通じて力説しているわけですが、取材という勉強を放棄して、社会の木鐸を任じている人たちがこれほど多くいることに、暗澹たる気持ちを持っています。